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 ■ 糖尿病
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監修:医)三喜会 有楽橋クリニック 
鐘ヶ淵クリニック 
院長 林 泰 先生 
 ■ 糖尿病

 糖尿病は治療していないで放置していると、中高年になってからいろいろな合併症で悩まされる怖い病気です。糖尿病の合併症で特に問題なのは眼底出血による失明と尿毒症です。甚だしい場合は、足を切断しなければならないという事態も引き起こしかねません。その他にも、心臓や脳の動脈硬化を進行させて、心筋梗塞や脳梗塞の誘因にもなります。しかし、食事や運動などの生活指導を守ったりして、血糖値を正常範囲以内に保っていればこのような合併症は予防ができ、普通の人と同じ生活を楽しむことができるのです。ですから、厳しい血糖管理が重要なのです。

 糖尿病はインスリン依存性とインスリン非依存性に分けることが出来ます。インスリン依存性糖尿病は膵臓でインスリン分泌ができなくなってしまったためで、この場合は、一生を通じてインスリンを毎日注射する必要があります。我が国で圧倒的に多いのはインスリン非依存性糖尿病です。

  この病気はインスリンの分泌はあるのですが分泌量が少なくなっている場合と、インスリン抵抗性が高いためにインスリンの効きが悪い場合です。治療の第一歩は生活習慣を変えることです。摂取カロリーが適正になるように食事のコントロールをし、また、毎日定期的に散歩などの運動を続けることです。運動することによって血液中のグルコース(ブドウ糖)や中性脂肪を燃やすので、糖尿病がコントロールしやすくなります。

 最近は食生活が欧米化してきていて、摂取カロリーが増えている傾向にあります。ところが、食事療法のコツは、和食に回帰することにあるといえます。油を使った料理を避け、卵、肉、魚などの蛋白質を食べ過ぎないようにすることです。ご飯は軽く1〜2杯というのが目安です。野菜、海草類、キノコ類、こんにゃくなどはなるべく多めに摂るようにしましょう。

  野菜というのは緑黄色野菜、淡色野菜を指します。サツマイモ、里芋、カボチャ、トウモロコシ、栗、小豆などは炭水化物ですから野菜でなく主食の仲間です。ビタミン、ミネラルの補給という意味で、果物、牛乳も欠かせません。お菓子やアルコールも量が過ぎると血糖値を乱してしまいます。間食、夜食の習慣は好ましくありません。お菓子や果物は食後のデザートとして召し上がるようにして下さい。食べた後必ず、血糖値や中性脂肪が高くなり、動脈硬化の進行が早くなってしまいます。

 糖尿病の治療をする場合、患者さん自身が、何を注意すべきか、何をしてはいけないのかを絶えず考えるべきです。さらに食事療法や歩行療法を行っているか、服薬が指示通りであるのか、自らチェックすることが大切です。

  もっと重要なことは、何故糖尿病になったのか、高血糖を放置するとどうなるのか、今行っている治療法がどの様な機序で血糖値を下げようとしているのかなどを患者さん自身が理解しないと、発症直後から優れた血糖管理を長期にわたって維持することは難しいでしょう。しかし患者さん自身が興味を持ち、これらを理解すれば糖尿病の管理はたやすいものとなります。
 
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