主な病気について 消化器系
 ■ 膵 炎
 HOME > コラム・情報コーナー >主な病気について「膵炎」
監修:医)三喜会 有楽橋クリニック 
鐘ヶ淵クリニック 
院長 林 泰 先生 
 ■ 膵 炎
 
 膵臓は筋子のような形をしていて、上腹部の胃の後ろの脊椎の近くで、横たわっています。膵臓の働きは消化液(消化酵素)を分泌することと、インスリンをすることの2つです。消化酵素である膵液は蛋白質、脂肪、炭水化物などの消化・吸収を助けます。食べたものを消化するには唾液、胃液、腸液などが必要ですが、特に膵臓から分泌される膵液の働きは重要なのです。
 
 膵液が少ないと消化不良を起こしてしまいます。所が、膵液中の蛋白質を消化する酵素の働きが異常に亢進すると、膵臓の組織を自分で消化して急性膵炎を引き起こしてしまいます。急性膵炎になると、食事をするたびに膵液が分泌されて膵臓が壊されるために激しい腹痛、腰痛が起こります。急性膵炎の時は入院し、1週間ぐらいは絶食して点滴だけで過ごし、膵臓を休めます。急性膵炎の場合、食事で症状が悪化することを繰り返すため、うつ状態になりやすいのも特徴の一つです。

 慢性膵炎の場合は、激しい痛みは少ないのですが、腰痛、腹痛、下痢、胸やけなどの症状が起こることがあります。膵臓は肝臓以上の沈黙の臓器といわれていて、症状を出しにくい臓器ですが、一旦、膵炎になってしまうと、完全に治るのが難しいのです。膵炎が長い間続いていると、膵臓の組織が壊死・脱落してしまい、繊維化してしまいます。膵臓の組織が破壊されてしまうと、膵臓から分泌される消化液や、インスリンなどが減少してしまい、消化・吸収障害の他に、糖尿病の症状も出てきます。

 膵炎はアルコールの飲み過ぎ、脂の多い食事、不規則な食生活などが引き金になることが多いようです。予防、治療のためには脂肪制限が原則です。腹痛が著しい場合には20g/日以下として、症状に応じて30-40g/日とします。蛋白は制限する必要がありません。

  糖尿病の合併がない限り炭水化物も制限はありません。食べ過ぎは増悪の原因となるので1回の量を少なくします。アルコールや香辛料などは症状を増悪させるため制限します。朝食を抜かない、間食、夜食を避ける、などが基本的な対策だと思います。
 
Copyright(c)2003 doctors-search.com All Rights Reserved.