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 ■ 骨粗鬆症
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監修:医)三喜会 有楽橋クリニック 
鐘ヶ淵クリニック 
院長 林 泰 先生 
 ■ 骨粗鬆症

 骨粗鬆症とは全身の骨の骨量(カルシウム)が減少し、骨の微細構造の劣化がおこった状態で、骨が脆くなり、骨折を起こしやすくなります。背中が丸くなってきたり、若いときに比べて身長が1cmも2cmも少なくなったりした場合はこの病気を疑います。

 胃のレントゲン検査を受けた後、説明を聞く場合には、ついでに、脊椎も見て貰って下さい。一つ一つの椎体が白く見えている場合は骨のカルシウムが多いので安心です。

  椎体の輪郭が見えるけれど、椎体が透けているのは骨のカルシウムが抜けてしまったことを意味しているので要注意です。椎体の輪郭もはっきり見えなくなってしまう場合は、一寸転んだだけで骨折を起こしてしまう危険域であるかも知れません。

 骨粗鬆症の診断には、腰椎の骨塩量を測定するのが正式ですが、私たち開業医は簡易法として手指の骨塩量を測定しています。測定した骨の骨塩量の程度によって、状態を把握するのです。また、血液検査で血中のカルシウム濃度のチェックもします。

 骨粗鬆症を予防し、骨量増加を図るには適度の運動負荷が重要です。まず、最も簡単に行える歩行が勧められます。毎日、定期的な30-40分の散歩がお勧めです。

 骨粗鬆症では痛みを伴うことも多いのです。急性期の腰背痛では安静も重要ですが早期からの筋力訓練、体位変換、短期間のコルセット使用、歩行をしたりするようにします。慢性期では椎体に負荷をかけない伸展を中心とした治療体操が重要です。温熱療法などの物理療法は慢性疼痛の改善に有効です。

 骨量維持のために適切な食生活が大切で、予防のためには充分なカルシウムが必要とされています。牛乳は朝・夕コップに1杯ずつ飲むようにして下さい。牛乳不耐性の人は乳糖分解酵素薬であるガランターゼを混ぜると飲めるようになります。また、小魚は骨ごと食べるのが好ましいのです。その他に、海草類、牡蠣、野菜、大豆製品などがお勧めです。

 治療薬は破骨細胞を抑え、骨芽細胞を増やす作用があるアルファロールなどの活性型ビタミンD 3 や、グラケーなどのビタミンK 2 を用います。その他にカルシトニン分泌を促進して骨吸収を抑制するオステン、異常な骨代謝回転を抑制して骨形成を促進するベネットなどもあります。閉経後エストロジェン(卵胞ホルモン)が低下することによって骨粗鬆症が進行してしまうため、エストラダームM外用薬などのエストロジェン補充療法を行うことも予防法として有効です。
 
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